帯にはこう書いてある
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生きている時間のほうが長い
どんなに短い人生だったとしても
生きていた時間のほうが長い
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今日の人生 益田ミリ
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私でも描けそうな絵で(←失礼すぎる)時には棒人間だったりするのだけど、本当に些細な日々の愛おしさを丁寧に掬い上げていて、「今日の人生」の積み重ねこそがその人の人生なのだと思い出させてくれる。
いくつかパラパラとめくったところに書いてある「今日の人生」を紹介してみようかと思う。
「ヨックモックのシガール(ロールクッキー)で息をすってみたら甘い空気でした。へー」
こういう長め(?)の漫画の日もある。要約すると・・・
海外の空港内の店でお水を買おうとした時、店員に「ボーディーバ」と言われる。「What?」
店員はチッと舌打ち。このやりとりを繰り返す。「ボーディーバ」「What?」「チッ」
他の客が搭乗券を見せているのに気づいて「チケット?」と出すと「Yes(チッ)」という扱いを受けてしまう。結局ボーディーバはボーディングパスのことだったとあとで気づく。それはそうかもしれないけど、ボーディーバ以外の言い方を試してみてくれてもよかったのに。だいたい、店員が海外の客に対して舌打ちするのは失礼なことだ。私はあの時やはりひとこと言ってもよかったのに。「舌打ちなんて失礼ですよ」それは日本語でもよかった。ひとこと言って自分のことを守ってあげればよかった。(この後ちょっと続く)
他にも好きなエピソードを挙げればキリがないのだけど(ていうか全部だけど!)、本当にささやかな心の動きを逃さずキャッチして、私が取るに足らないことと忘れていくことを優しい形にしてくれる。その細やかな機微の表現に、「今日の人生」が今日も送れてよかった、と優しい気持ちになる。モヤモヤしてる私も、怒ってる私も、クスッと笑ってしまう瞬間も、なんかよかったなぁとしみじみする出来事も全部平等に「今日の人生」なんだ。愛おしい人生の一コマなのだ。
辛い気持ちの時、人生がつまらないもののように感じる時、手に取りたい一冊だった。